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セロリの道も一歩から

たいていの料理者にとってセロリという野菜は
ハードルの高い、クセの強そうな、特段の使い道を見出せない、
したがって使うまでもない、買うまでもない野菜
という地位にある食材ではなかろうか。
そして実際、私にとってもそうであったのだが、
先般、ひょんなきっかけからセロリの道を一歩踏み出し
今では大好きな、そして代わりの効かない食材のひとつとなっている。



実際にセロリの道に踏み出す以前から私は
・「ミルポワ」のひとつ(玉ねぎ・にんじんと並んで)
・ミネストローネの定番食材のいち候補として
・ケジャリーの有力食材のいち候補として
セロリに関心を寄せてはいたのだが、
やはり、安くはない、応用の効かせ方が分からない、
「筋取り」とやらが面倒そう、との理由から敬遠したままだったのだ。
で、そのひょんなきっかけとそのレシピ系読み物にいくが ー



チキンとセロリのレモン風味ソテー | キユーピー3分クッキング | CBCテレビ
私は名古屋圏の人間ではないのだが、ひょんなきっかけから
日本テレビのそれじゃなく、このCBC中部日本放送)の
キユーピー3分クッキング』 のYouTube版を愛視聴するようになった。
単純に、ツイッターでのとある告知ツイートから飛んでみたら
たまたまそれはCBC版のYouTube動画へのリンクで
メニューも出演者も日テレ版とは異なるものだったのだが、
たまたま出くわしたその日の先生:宮本和秀先生の語り口の巧みさ細やかさ
に感嘆・共感し、以降愛視聴するに至ったのだった。



まあ、そこのところはもしかしたらまた追い追い詳しく語るかもしれないが
先を急ごう。
件の「チキンとセロリのレモン風味ソテー」、
今となっては動画を観ることはできない(1ヶ月期限)ものの
そこで宮本先生は「筋取り」の実演をやってくれていて
なおかつ "まあ、必須ではないですよ。メインの数筋だけでもいいですよ。
今日のように幅狭の横スライスにする場合はそんなに気にもなりませんし"
みたいに、いつもの詳述、かつ併せて視聴者へのハードル低減配慮から
「やる場合はなぜやるか、したがってどういう場合には省いていいか」式の
細やかで優しいコメントを添えてくれていて ー
そのおかげで私の、セロリへのハードル意識は如実にグッと下がり
なおかつ「肉料理にレモン風味」というかねてよりの関心にも適う
このメニューをさっそく作ってみる気になったのだった。



で、私流のアレンジを加えた簡易、スピーディ、安上がり版。
上掲ページの食材から
キユーピーレモンドレッシング、マッシュルーム、ミニトマト、醤油を除き
きのこ界から代わりにエリンギに登場してもらい ー

食材:鶏胸肉(もしくはささみ)、セロリ、エリンギ。
調理材・調味料:オリーヴ油。砂糖、酢、塩、オリーヴ油、ポッカレモン

0. 準備
鶏胸もしくはささみは30〜50g、2cm幅ほどにそぎ切り。
下味付けは省く(不要)。
セロリは1/2〜2/3本、茎と葉を別に扱い
茎は1cm〜1.5cm幅で斜め切り、葉はごく大雑把に荒〜くざく切り。
エリンギは小株2、3本を幅2cmほどに縦切り。
見た目のかさ的に鶏1:セロリ1〜1.5:エリンギ1くらいの割合で。
一般的な料理で謂うような「肉の旨み」はそれほど活かさなくてよい ー
どころかむしろ、セロリの持つレモンやきゅうりのような
爽やかな風味と香りこそがこの料理の決め手・キモであるため
(セロリ初心者であっても切っている時点でその爽風は感じられるはず)
肉、あるいは魚介、あるいはそれらの加工品の旨み・匂いは
ことこの料理に限っては、活かす必要があるどころか
むしろ少なめに抑えたほうがいいくらいなのだ。


1. ソース/合わせ調味料作り
『3分クッキング』はキユーピー(キューピーに非ず)提供なので
番組では当然「キユーピーレモンドレッシング」を使ってるが
なくてもできる ー
むしろ料理上手/貧乏料理者ほどゼロから手作りしたくなるものだろう。
私はほんの確認までにキユーピー公式サイトでチェックしてみたが
予測どおり、酢油ドレッシング/ヴィネグレット・ソースのいち変種だった。
で ー
砂糖、酢、塩、オリーヴ油を
(見た目の体積/容積で)1:3:0.3:2 くらいの割合で
(参照:あらゆるサラダはホット・サラダであるべし
最後にポッカレモンをチュッチュッチュと3押し(容器に因る)。
市販の「ドレッシング」なんて元はそんなものなのだ。
最後の回しかけ用に総量15ccほどを。


2. 炒め
まず鶏肉を焼き色が軽く付く程度にオリーヴ油で炒め、一旦取り出し。
セロリ茎>エリンギの順で、「火が通った」最低限くらい程度に。
鶏肉を戻し、馴染ませる程度に軽く炒め合わせ。
最後にセロリ葉、ほぼ「予熱でしんなり」程度に。


3. 仕上げ
ソースを回しかけ、15秒ほどうっすらひと煮立ち程度で出来上がり。
レモンやセロリ葉の香り・風味を殺さないように。



私としては「余所行き」と言える、なんならオシャレで上品な1品だが、
別段そのような意図を持って作るような料理であるわけでもない。
キモは、セロリの香味野菜としての強力さとユニークさにあるのであり、
その香りとシャキシャキした食感は他に並ぶものがないくらいだ。
これによってセロリ敬遠を脱却した私は
さっそくミネストローネにも使ってみたくらいで、
以降も、各種の中華風、ヨーロッパ風、内陸アジア風の1皿に
試行錯誤で適用していくことだろう。