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あらゆるサラダはホット・サラダであるべし

このブログでの最初の料理系エントリ:簡単貧乏ポテトサラダで書いたように
私は「グリーン・サラダ」にカテゴライズされる類いのサラダを
特に好きでもなく、料理らしい料理とも思わない。
したがって私の作るサラダは大部分、あるいは全てが
「ホット・サラダ」である。
とはいえ、必ずしも熱い/温かい状態でサーヴされる/食べるとは限らない。
要は、食材の1つ2つ3つに加熱調理が為されている、ってことだ。
前出のその「簡単貧乏ポテトサラダ」もレンジ蒸ししたものだったし、
その進化系/発展系である今エントリのメイン:酢油ドレッシング・サラダも
そうである。



どこから書き始めるか、そのためにどこまで遡るか迷うところだが、
「簡単貧乏ポテトサラダ」はその後
この酢油ドレッシングで和えたものに変わった。
甘酢でマヨネーズを伸ばすというそのソース/ドレッシングに
「結局はマヨネーズ頼みかよ」という安易さへの忌避感が強まった結果だ。
で、その酢油ドレッシングは
汎内陸アジア型チョップト・サラダの多くに共通する基礎要素 ー
植物油(多くはオリーヴ・オイル)、ヴィネガー/レモン汁、塩
ー からのインスピレーションに因るもので、
砂糖、酢、塩、オリーヴ・オイルから為る。
分量の割合は(見た目の体積/容積で)1:3:0.5:2 くらいの割合だ。
こういう場合、「0.5」という表記は邪道・マヌケに見えるが
小皿にこの順で注いでいく要領の面から、分かりやすさを重視した。
動作/シーン的に説明するなら
・tsp1/3ほどの砂糖に
・その3倍ほどの酢を加え、溶き
・塩をほんの1振り2振り(強めで3振り)し
・ちゅるる、っとオリーヴ・オイルを回しかけ、ざっとスティアする
となる。
コンセプトとして
・砂糖が酢(米酢でも穀物酢でも)の酸っぱみを若干和らげ
・オリーヴ・オイルが野菜に「脂っぽさ」「肉っぽさ」を錯覚的に与え
・塩が、酢との対称性・相互作用でピリッ・ツーンとしたスパイス性を出す
という面を持つ。



びっくりするくらいシンプル、お手軽、安上がりなこのドレッシングだが
実際にホット・サラダにかけて和えてみるとびっくりするくらい美味しく、
何より「効いている」のが感じられるはずだ。
前出の蒸しじゃがいもを和えてみるだけでもそれが分かるだろうが
ここでは一歩進んで「レンジで簡単、ホット・サラダの初歩その1」
いってみよう。
名前は特になく、また使う食材も自由だが
基本線はあるので、その最小要件を満たす例から ー



食材:キャベツ、玉ねぎ、にんにく、ソーセージ
調理材・調味料:上述ドレッシング以外なし
総量200gから300gほどを目安に
ソーセージ1/4本から1/2本、にんにく1片、玉ねぎ1:キャベツ3〜
くらいの割合で。
ソーセージ、にんにく、玉ねぎが「味出し材」となる。
加熱はレンジ・アップのみなので味出し材が多いとくどく/キツくなる。



0. 準備
ソーセージは薄い半月切り、にんにくは薄切り。
玉ねぎは薄切りにしてスレッド状に、キャベツは幅狭の短冊切り/千切り。


1. レンジ・アップ
特に必要ないためラップはしない ー
ラップをするのは蒸発した水分を再利用して蒸し要素を加えたい時だけだ。
キャベツは単体でまず1回、レンジのセンサー任せで。
水分が飛びかさの減ったキャベツに
大まかにソーセージ、にんにく、玉ねぎを混ぜ、全体をレンジ・アップ。
味出し材群はキャベツの中に程よく「埋まる」ように ー
表面に「載ってる」程度だと全体/キャベツに味・香辛香味成分が渡らない。
センサー任せで「チン」したら様子を見て、生っぽさがなければ完了。


2. 仕上げ
ドレッシングで和え、必要なら冷水/氷水/冷蔵庫で寝かせ出来上がり。



既に手順の内訳中でネタバラししているように
このホット・サラダは、フライパンも鍋も使わない簡単手抜き料理ながら
皿、あるいは平深鉢の中で
ソーセージ、にんにく、玉ねぎが大部のキャベツを味つける点にミソがある。
また、厳密に言うほうの「食材」であるキャベツと玉ねぎが
水分を失って、ゆえに浸透圧の関係でドレッシングを吸いやすくなる点も。
よってもって、一見シンプル過ぎて「味がな」さそうなドレッシングが
大きく「効いた」サラダとなるのだ。
私の「大きな」1食、大抵で深夜の夕食は
1皿のガッツリ料理 ー 回鍋肉、カレー、味噌マヨ炒め等々 ー と
この系列のあっさりめの「サラダ」類1皿なのだが、
1合のどんぶり飯がザラであった時期と比べて白米を食う量はめっきり減り ー
したがって「ダイエット目的」の人にも大いにオススメできる。
キャベツを200gも300gも食うのにホット・サラダほど楽なものはない。



saladの原義/由縁が、英語で言えばsalted、日本語なら「塩した」にあるように
塩で、浸透圧原理で野菜の、「菜っ葉」の水っぽさを抜き味を凝縮させるのは
それこそ中世、さらには古代から連綿と続いてきた人類の叡智だろう。
私はむしろ「簡単貧乏ポテトサラダ」より以前から
甘酢キャベツ=簡易型ザウアークラウト=自己流コールスローを試行していて
そこから「マヨネーズ頼み」や市販ドレッシング頼みにならない、
そしてまた動物性タンパク質・脂質頼みにならないサラッドを志向してきた。
なれそめ遡りと語り順に都度都度迷うところなのだが、
チャプチェ(・サラダ)も炒米粉もケジャリーも
あるいはこの酢油ドレッシング・サラダの無限のヴァリエーションも
私にとってはチョップト・サラダでホット・サラダで
汎内陸アジア型サラダなのだ。
そしてどういうわけだかこの道は
(私がむしろ嫌いな)ヴェジタリアン/ヴィーガン/意識高い系のそれと
カブる部分が大なのだが、
私の料理とその志向はあくまで簡単貧乏充実創意レシピにあり
またホモ・サピエンス社会経済歴史地政学みたいなところにある、ってことは
誤解による反感/共感を喚ばない内に予め宣言しておこう。